ME&YOU 6月号より

血液サラサラのすすめ

特定・特別医療法人福島厚生会 
福島第一病院
厚生会クリニック
理事長 星野 俊一


 

血液サラサラは健康のポイント

 動脈硬化は進行すると血管の内腔が狭くなるため血液の流れが悪くなり、高血圧が発症し、やがては脳梗や心筋梗塞といった生命にかかわる病気に発展します。これとは別に血液ドロドロは太い血管ではなく、非常に細い毛細血管の流れが悪くなるものです。動脈硬化は血管そのものの変化ですが、血液ドロドロは血管ではなく、その中を流れる血液の細胞成分である赤血球、白血球および血小板などの健康状態が悪くなって血液の流れを妨げるものです。

どうして血液ドロドロになるの?

 血液ドロドロになるのは、脂肪やコレステロールが血液の中に溶け込んで起こるわけではありません。赤血球、白血球、血小板などの変化により毛細管の中を血液がスムーズに流れることができなくなるのです。これがドロドロ状態です。

 赤血球は酸素の運搬係で、細い毛細管を流れるときには形を変形してスルスルと流れます。これを赤血球の変形能といいます。糖尿病や高脂血症ではこの変形能が低下して毛細管の流れを悪くしてしまいます。

 白血球は赤血球より大型で細菌やビールスと戦い、免疫にも関係しています。高度のストレスなどが加わると、白血球は粘りやすくなる粘着能が高まり、血液の流れを悪くしてしまいます。

 血小板はさまざまな形をとっていますが、出血が起こったときに出血を止める血液凝固に重要な働きをしています。お酒の飲み過ぎや糖分のとり過ぎなどがあると、血小板の凝集性や粘着性が高まり血液は固まりやすくなり、血液がスムースに流れるのを邪魔します。
【図1 血液ドロドロを測定する装置】

どうやって血液ドロドロの程度を測定するの?

 今まで血液ドロドロを測定するフローアナライザーは研究用でしたが、最近ようやく臨床用( MC-FAN )が開発され、複合施設ホリスティカかまたの厚生会クリニックでもこれを設置しました。図1に示す MC-FAN は半導体技術を駆使し毛細管モデルに血液を流し、その流れる状態を顕微鏡で拡大しながら、モニターに映し測定する装置です。図2はサラサラ血液とドロドロ血液の写真で血液の流れの良し悪しは一目瞭然です。また血液 100 マイクロリットルの通過時間も測定します。 65 〜 90 秒の基準値内ならサラサラ血液です。 90 秒以上はドロドロ血液と判定しますが、 65 秒より短い場合は却って赤血球数の少ない鉄欠乏性貧血の可能性があります。

肥満、糖尿病、高コレステロール、活性酸素は血液ドロドロのもと

 血液ドロドロの状態は主として生活習慣病が関連しています。最近増えているのは内臓脂肪型肥満、とくに肝臓に中性脂肪が蓄る脂肪肝です。軽症の脂肪肝では血液検査には異常なく、腹部超音波検査を見ない限りわかりません。しかし脂肪肝の人は MC-FAN の検査を行なうとほとんどの人が血液ドロドロになっています。

 血液ドロドロにしておくと早晩動脈硬化に進展する可能性は大です。従って脂肪肝は未病の代表格ともいえます。最近メタボリック症候群が話題になっていますが、中性脂肪の高い人は当然血液ドロドロです。またお酒を飲まないのに肝臓に炎症が起こる非アルコール性脂肪性肝炎が増えていますが、これも血液ドロドロの原因となります。血糖値が高い糖尿病は赤血球の膜が変化して変形能を低下させるために赤血球が重なりあって通路をふさいでしまいます。

 活性酸素という言葉を耳にすることがあると思いますが、活性酸素は細胞の老化を早めたり、細胞の膜を変質させる毒性をもっています。血液もこの活性酸素にやられるとドロドロ状態になります。この活性酸素を生ずる代表的なものは紫外線、タバコ、車の排気ガス等です。また過剰なストレスでも血液中に大量の活性酸素が発生し、白血球の粘着能が高まるので血液ドロドロの原因になります。
【図2 サラサラ血液とドロドロ血液】

血液ドロドロは食生活の改善でサラサラになれる。

 現代は飽食の時代といわれています。ファーストフードや高カロリー食を食べ過ぎると、過剰な糖分は内臓脂肪となって蓄積します。お酒を飲み過ぎたり、甘いものを食べ過ぎれば、中性脂肪の燃えかすであるレムナントが増えて、血小板が集合して塊状になります。肉ばかり食べていると、赤血球の膜が硬くなって変形能が低下します。お酒をちょっと飲んで、おいしい食事を楽しみながら血液サラサラにできれば理想的ですね。そのためにも現在の自分の血液サラサラ度を MC-FAN で測ってみると、健康維持のよい指標となります。

 「オサカナスキヤネ」食は血液サラサラにする

 血液サラサラに役立つ食べ物としては、「オサカナスキヤネ」食が良いといわれています。オ=お茶、サ=魚、カ=海藻、ナ=納豆、ス=酢、キ=キノコ、ヤ=野菜、ネ=ネギ類です。これらはあくまで血液サラサラにする食品ですので、健康に良い食べ物はこれがすべてという訳ではありません。

抗酸化ビタミンの効能は?

 活性酸素はガンなどの病気の原因になるだけでなく、あらゆる細胞の老化を早め、皮膚のシミ、ソバカス、シワ、髪のパサツキなどをもたらします。血液の抗酸化力をアップさせ、血液サラサラにするためにはβカロチン、ビタミンC、およびビタミンEは欠かせないものです。毎日の食事から必要量を摂れれば理想的です。もしこれら抗酸化ビタミンが不足しているようなら、サプリメントで補給することが賢明な策です。このためには現在のご自身の抗酸化ビタミンの体内レベルを知ることが重要です。ビタミンドックなどで測定可能ですので専門医に御相談なさって未病のうちに対処されることをおすすめします。