ME&YOU 6月号より

糖尿病患者さんは足に気をつけましょう

社会医療法人福島厚生会
福島第一病院
循環器内科部長・透析室部長(兼)
小川 智弘


糖尿病は、さまざまな合併症を引き起こす怖い病気です。特に足には症状が現れやすくなります。重症化すると足を切断しなければならないケースも出てきます。糖尿病の患者さんが足を守るためにはどうすればいいのか、福島第一病院で足を専門に診てくれるフットケア外来を担当している小川智弘先生にお聞きしました

足のトラブル起こす危険性冷え、痛み、潰瘍、足の切断も

−糖尿病でどうして足が悪くなるのですか。

主な病因は、糖尿病による血流障害と神経障害です。高血糖状態が続くと、全身の動脈硬化が起こり、血の動脈血管が細くなったり詰まったりして閉塞性動脈硬化を引き起こします。その結果、足の血の流れが悪くなり、足の冷えといった軽い症状から、歩く時の足の痛み、重症になると安静にしていても足が痛み、潰瘍や壊疽が認められるようになります。潰瘍がない場合でも血の流れが悪ければ、通常ではすぐに直る傷でも治りにくくなり、ついには潰瘍になってしまい、さらに放置しておくと組織が壊死して、下肢の切断に至ることもあるのです。また、高血糖により血液の凝固異常が起こり、足の静脈内に血液の塊ができて足がはれる静脈血栓症や、その血液の塊が肺血管に流れ込み、詰まってしまう肺塞栓症といった重篤な状態に陥ることもあります。

 

痛みの感覚が鈍くなりけがに気づかず悪化

さらに高血糖は、足の末梢神経を冒し、ついで筋肉萎縮を起こし、最後には足の骨の変形、骨折に至ることもあります。そのような状態に至らないまでも、しびれ、痛みや熱さに対する感覚が鈍くなり、けがややけどなどに気づかず、ひどくなる場合もあります。また、全身の抵抗力も落ちてくるため、ちょっとしたことから足に傷ができ、そこから細菌に感染し、足が赤くはれ上がることもあります。

−どのくらいの糖尿病患者さんが足に病気を持つのですか。

足に潰瘍が現れるのは糖尿病患者の2%で、その前段階では 13 %、糖尿病神経障害は、糖尿病患者全体の 10 %〜 37 %と報告されています。

 

−小川先生はフットケア外来を担当されていると伺いました。フットケア外来とはどういうものなのですか。

糖尿病の患者さんは、ご自身では動脈閉塞や神経症が分からないことがあります。それらを診察するのがフットケア外来です。さらに足の病変に対する正しい知識を伝え、家庭での管理について指導し、定期的に経過を観察することになります。

 

−家庭で足の病変を予防するためにはどうすればいいのですか。

まずは、足を自分自身で見ることが大切です。自分でできなければ家族に見てもらいましょう。足はいつも清潔に保ち、爪の手入れも欠かさないように。自分で爪をうまく切れない場合は医療機関でも切ってもらえます。靴は足に合ったサイズで、ヒールが高くないものを選び足を保護するためにも清潔な靴下を履きましょう。また、適度な歩行により足の筋肉や心肺機能の保持やメタボリック症候群を予防することができます。

 

−フットケア外来は糖尿病患者さんだけを診るのですか。

フットケア外来は、糖尿病患者さんだけを対象とするのではなく、足に関してなら、血管、リンパ疾患によるもの、骨や筋肉に関係するもの、心臓、腎臓障害による全身浮腫にかかわる病気全般を診察し、適切な専門家と連携しつつ、効率的な治療や管理を行う窓口となっています。ここでリンパ疾患について述べると、リンパ液は血液の流れとは違った全身にあるリンパ管を流れて最終的に静脈に合流しますが、リンパ管が閉塞するとリンパ液が停滞し、上下肢がはれるリンパ浮腫を起こします。リンパ浮腫は見た目の問題だけでなく、細菌に感染しやすい状態になり、感染を繰り返すと肌が象の皮膚のように硬くなり、日常生活に大きな影響を及ぼします。しかし専門的に診察してもらえる医療機関は少ないのが現状です。
フットケア外来ではリンパ浮腫の診断と、リンパ浮腫の中心的治療である「用手」、また機械的マッサージで浮腫を改善し、さらに圧迫療法でその状態の維持を図り、リンパ浮腫に対する家庭内の管理を指導します。糖尿病や血液透析の患者さんで足の病気が気になる方、リンパ浮腫を含む長期の足の病変でお悩みの方はぜひフットケア外来の受診をお勧めします。

○正しい知識で足病変を予防
○必ず毎日”セルフチェック”
○フットケア外来で専門治療

【ケアのポイント】

足を毎日チェックする
特に糖尿病や慢性腎不全で血液透析を受けている方はご自身、またはご家族の方に足をよく観察してもらいましょう。

異常感じたら専門医へ
足が冷たい、痛い、しびれる、傷ができている、変形しているといった場合にはフットケア外来などの専門外来の受診が勧められます。

爪の手入れも忘れずに
足を健康に保つためには、爪などにも気をつけて足をきれいにすること、けがをしないようにすること、足に合った靴を履くこと、適度な歩行が重要です。