【doctor blog】サルコペニア3

投稿者: | 2014/10/06

前回の復習です。サルコペニアを原因別に分類してみました。

原発性サルコペニア:加齢の影響のみで活動、栄養、疾患の影響なし

二次性サルコペニア

a)活動によるサルコペニア:廃用性筋萎縮、無気力

b)栄養によるサルコペニア:飢餓、エネルギー摂取不足

c~e)疾患によるサルコペニア

 c)侵襲:急性疾患・炎症(手術、外傷、熱傷、急性感染症)

  d)悪液質:慢性疾患、癌、心/腎/呼吸/肝不全、膠原病、感染症

 e)原疾患:筋萎縮性側索硬化症、多発性筋炎、甲状腺機能亢進症など

 

コレら各原因別サルコペニアへの対処法がコチラです。

 

●原発性サルコペニア

「栄養」

ⅰ)カロリーリストラクション (以下CR。つまり摂取カロリーを減らした食餌療法のこと。) が第一。ただし低栄養がある場合は推奨されません。

CRの具体的な目安としては

・1日摂取カロリー=体重 × 0.4単位(1単位=80kcal)

・1日エネルギー必要量より200~750kcal少ない食事

肥満を合併する サルコペニア肥満 の場合には 筋肉量をなるべく維持しながら減量する ためにCRを行います。

筋肉量を維持するにはレジスタンストレーニング(いわゆる筋トレ!!です。詳細は下にあります。など運動療法の併用があると尚better。

ⅱ) タンパク質・分枝鎖アミノ酸

高齢者ではタンパク質摂取量が少ないと筋肉減少を認めやすくなります。さらに血中分枝鎖アミノ酸(BCAA:バリン、ロイシン、イソロイシン)の補充も補助的に効果的です。(血中分枝鎖アミノ酸濃度が高いと骨格筋タンパク質の刺激効果が高まります。)

ⅲ) ビタミンD

ビタミンD欠乏症はサルコペニアや筋力低下の原因の一つであります。

ビタミンD血中濃度と筋肉量に関連を認めるという報告もあり。(ただしビタミンD投与で筋肉量が増加するかは不明。)

ⅳ)魚油

エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)などのn-3系多価不飽和脂肪酸には抗炎症反応がありサルコペニアに有用とする報告もあります。

「運動」

ⅰ)レジスタンストレーニング(筋トレ)

運動強度の負荷強度が最大負荷量の80%以上

セット数が2~3セット(1セットにつき8~12回)

頻度が週三回、期間は3か月以上

・・・が推奨されています。

また、レジスタンストレーニングとタンパク質・アミノ酸補給併用は若年者、高齢者ともに除脂肪量が増加し筋力が改善するとされており、原発性サルコペニアの予防と治療に最も効果的といわれています。

ⅱ)有酸素運動

有酸素運動自体には 抗炎症反応、インスリン抵抗性の改善、骨格筋のミトコンドリアの増加 といった効果があるとされています。

中等度の歩行活動は高齢者の筋肉量と筋力に関連するとされ、半年以上の歩行、ジョギング、間歇的走行は高齢者の下肢筋肉量を増加する可能性が高いようです。

いずれにせよ身体的活動量の低下による廃用症候群を予防するためにも有酸素運動は重要と考えられます

また大事なことは・・・・過度な運動はストレスを助長し逆効果になりうる、ということです!! やり過ぎはダメです。。。

 

二次性サルコペニアへのリハビリテーション栄養

障害者や高齢者の機能、活動、参加を最大限に発揮できるような栄養管理(リハビリテーション栄養)の考え方が重要であり原因別の対応を記します。

a)活動による二次性サルコペニア

不要な安静は避け、四肢体幹の筋肉量を低下させないことが大事。

リハビリテーションで 早期離床 に心がけ、また廃用のときにはタンパク質の摂取量を増やすことで廃用性筋萎縮するのを軽減することができます。

b)栄養による二次性サルコペニア

栄養による二次性サルペニアの場合、栄養改善 を考慮した栄養管理が必要。

1日エネルギー消費量=1日エネルギー摂取量・・・という状況では現在の栄養状態は維持できても改善は困難。。。

こんな場合には 1日エネルギー必要量 = 1日エネルギー消費量 + エネルギー蓄積量(250-750kcal) を一つの目安に栄養管理を!!

また エネルギー摂取不足時の安静臥床は骨格筋分解を加速させた というデータもあります。

飢餓の状態でも安静臥床をさけることや、運動強度の強い階段昇降以外の日常生活活動は制限しないことが重要です。

c)侵襲による二次性サルコペニア

「異化期」:多くのエネルギーを投与しても筋肉のタンパク質の分解は予防できません。

そのためこの段階ではサルコペニアの悪化防止が目標となります。

1日エネルギー投与量15~30kcal/kg程度でOK

リハビリとしては早期離床や階段昇降以外の日常生活にとどめ、レジスタンストレーニングは実施しません。

「同化期」:この段階になって初めて サルコペニアの改善 を目標とします。

栄養改善を目指した栄養管理 と レジスタンストレーニング を同時に行うことが望ましいです。

ちなみに同化期の目安は、血液検査で分かる 炎症のマーカー CRP が3を下回ったら・・です。

d)悪液質によるサルコペニア

悪液質が原因の場合、栄養療法、運動療法、薬物療法を含めた包括的な対応が必要になってきます。

終末期ではない悪液質の場合には栄養療法として 十分なエネルギー タンパクの摂取 を行います。

運動には抗炎症作用を図って 軽負荷のレジスタンストレーニング や 持久性トレーニング を実施します。(漢方の六君子湯も効果的ともされています)

終末期の悪液質の場合、緩和医療の一環として QOLを低下させないリハビリと栄養管理を行います。

e)原疾患による二次性サルコペニア

神経筋疾患によるサルコペニアの場合、原疾患による筋肉量・筋力低下はやむを得ないと考え、「飢餓と廃用」によるサルコペニアへの予防を徹底します。

 

 

三回にわたりサルコペニアをテーマに投稿させて頂きました。

サルコペニアの有病率は60~70歳で5~13% とされる一方、80 歳を超える高齢者での有病率は・・

11~50% !! ・・・だそうです。

世界の60 歳以上の高齢者数は2025 年までに12 億人,2050 年までに20 億人に増加すると予測されており、

有病率を控えめに見積もっても,この先40 年でサルコペニアの患者は

2 億人を超える!!

と見込まれております。(すごい数・・・。)

またこの領域の研究は 遺伝子レベル でなされており、今後また 新たな知見 が分かってくることでしょう。

これで終了でなくて、サルコペニアに関して今後何か新しいネタがあれば、ご報告していきますね~~。

 

さて次回は病気のお話しは一休みにして、当院PR第一弾の予定です。何枚か写真を載せて当院のご紹介をさせていただきます。

ではでは。。